マイ・ブルーベリー・ナイツ

マイ・ブルーベリー・ナイツ(My Blueberry Nights)は、2007年の香港、中国、フランスの合作映画。
監督 ウォン・カーウァイ
キャスト ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、デヴィッド・ストラザーン、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン
エリザベスはニューヨークに暮らしていて失恋し、恋人の家の鍵をカフェのオーナーに預けてしまうのだ。後日、閉店した後のその店にやってきたエリザベスはそのカフェのオーナーであるジェレミーと話し込み、毎日売れ残るというブルーベリー・パイを食べるのだ。ジェレミーはエリザベスに恋心を抱くが、恋人を吹っ切れないエリザベスはニューヨークを後にしてしまったではないか。
香港映画の巨匠ウォン・カーウァイが初めて英語版の映画に挑んだラブ・ストーリーなのだ。主演はグラミー賞歌手でこの映画が初めての出演となるノラ・ジョーンズなのだ、脇をジュード・ロウら豪華キャストが固めている。
この映画はウォン・カーウァイのアメリカでの再出発の作品ということなのだ。ウォン・カーウァイは「花様年華」や「2046」といった90年代の彼から考えると「らしくない」作品を撮っているのだが、「恋する惑星」や「天使の涙」といった90年代の作品はかっこいいという言葉が当てはまる作品で、ユニークなところがあって新しさを感じさせてくるというのだ。2000年以降の作品はそれまでとは別のユニークさを求めているようなかっこよさよりも芸術性を求めているようだ。丁度デザイナーが画家へと転職したようなものだ。この映画でウォン・カーウァイは舞台をアメリカに移し、英語の作品を作ることで90年代の作品に立ち返り、再び自らのスタイルで映画を撮り直したのではないかと思うのだ。ウォン・カーウァイらしいざらつきとあえてコマを落とした映像、軽快なカッティングのリズム感、疾走するカメラのスピード感といった映像面でのウォン・カーウァイのスタイル、そして登場人物がみなどこかずれているという感じなのだ、90年代香港そのものではないか。