KIDS

『KIDS』
アサトはある事件を起こし、小さな夢をかなえるためにタケオのいる町へ、やってきた。二人は、やがて親友となるがアサトのもつ能力は、人の傷を自分の体に移動してしまうのだが、やがて彼らを翻弄する。というストーリーなのだ。
タイトルとは裏腹に、なんとも悲しい物語で、傷—KIZ−KIDSという原作にも象徴されるように、消すに消せない二つの傷、身体に残る傷と心の傷をめぐる残酷な青春です。背負いたくて背負ったわけではない、過去の苦悩・忌まわしい記憶をひた隠しにしひっそりと生きる主人公たちに、せつなさとやるせなさとそんなどうしようもない運命を感じさせてくれます。
タケオ役の玉木宏は、ホントいろんな作品に出ますね。強い役からスマートな役やなよなよした役など何でもこなしてしまうのでがすばらしい。
ワイルドな『KIDS』、スマートでコミカルな「のだめ」ふつうな『ミッドナイト・イーグル』頼りない「鹿男」誠実な『雨鱒』純朴な『ただ、君を愛してる』。
とにかくなんでもやってしまう芸の幅広さ。小池徹平のアサト役は女子ファンをさらに増やしてしまいそうな超好青年役で得しているのだ。
いい役をやりましたね。バケモノと呼ばれた能力に、悩みながらも人のために使おうとする心の優しさがへんです。その分だけ中盤2つの残酷な現実に直面するのだが、彼の傷とあいまっていっそう深い悲しみを誘うというややっこしい展開です。決して悲しいだけの単純な話ではありません。ラストは絶望するアサトに人の優しさが解らなくなりそうです。
妙に古臭い映像が気にいらなかったり、店の中への光の入り具合がほかのシーンとテイストが違ったり、大切なアサトのラブシーンで映像がテイストがいやらしく切り替わったりしてくれました。自然な映像がほしかった!