映画ファンドに脚光 「フラガール」利回り15%も


 映画の著作権を信託に設定し、利益配分を受ける権利を販売して一般投資家から資金を集める「映画ファンド」が脚光を浴びている。

 この方式で制作資金を集めた映画「フラガール」が大ヒット、ファンドの運用が軌道に乗り始めた。映画の著作権信託を国内で唯一手掛けるジャパン・デジタル・コンテンツ(JDC)信託は、現在決まっているだけで今後約40本の映画の著作権を受託する予定だ。

 映画製作で主流の制作委員会方式では、著作権が委員会に属し、収益の大部分は出資者の大企業などが分け合う。一方、信託は、著作権が最終的には映画製作者に戻るのが特徴だ。

 JDC信託は平成17年7月に映画の著作権信託に参入。18年4月には、中堅映画会社「シネカノン」の作品約20本を対象にしたファンドを設立した。投資家は1口2000万円でファンドに資金を出し、映画上映やDVD販売などの収益の中から配当を受け取る仕組みだ。

 JDC信託の土井宏文社長は「多数の映画に分散投資することで、安定した収益を目指している」と話す。映画好きの富裕層を中心に資金を集め、ファンド総額は46億円に達した。

 こうした中、18年に公開されたシネカノン制作の映画フラガールが興行収入14億円を記録。土井社長は「本格的に利益が出たのは初めて。先々も安心してファンドを運営できるようになった」と手応えを感じ、「利回り15%が目標だ」としている。

 ヒット作に恵まれなければ配当が得られないリスクはあるが、活気が戻りつつある邦画市場に一般投資家の資金を呼び込む手法として、今後も注目を集めそうだ。

産経新聞 - 2007/3/18