CESとiPhoneから浮かび上がる新しいメディアビジネスの形

 コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」には今年で5年ほど連続で参加しているだろうか。今年のCESは確かにわかりやすい話題や目立った華やかさが少なかった陰で、2007年のテレビとネットを読み解くうえでの大きなヒントがあちらこちらにちりばめられていた。飛びぬけた商品や画期的な技術ではないが、新しいメディアビジネスの形が今年は確実に具現化していくことになるだろう。(江口靖二)

 ここ数年の話題であった大画面競争はシャープの108インチ液晶が勝利を収めたが、そもそも韓国サムスン電子、LG電子、松下電器産業などの各選手がレースそのものに参加していない、いわば不戦勝だ。キヤノン、東芝のSED陣営が出展を行わなかったために、ソニーの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)は確かに素晴らしく鮮やかで完成度の高さを感じさせたが、こちらもやや不戦勝感が拭えない格好となった。

 また、熾烈な競争を続けてきた次世代DVD規格も、ワーナーホームビデオが「ブルーレイ・ディスク(BD)」と「HD・DVD」のハイブリッドメディア 「THD(Total Hi Def)Disc」を発表し、LGがハイブリッドプレーヤーを登場させるなどこの競争も予想通りの決着に向かいそうである。

日本経済新聞 - 2007年1月17日